ブルーの囁き | ある日、ひょんな事から、ブルーめだかに魅せられてしまい、1シーズン、ブルーに染まりました。そんなことがあってこそ、本質を知り、自分のものになる、機会を与えてくれた様な気がします。 |
ブルー色のめだかがいます。 ブルーと言っても、ファインディング・ニモに出てくるドリーのような青い色ではなく、グレーというか少し青み掛かったというか、どう見ても地味に思え、室内の水槽で見ていると、どうしてこれがブルーなのかと思うような色であり、一応飼ってはいたものの、あまり気にもしていませんでした。 ところが、この春、あることがきっかけで、ブルーめだかを見直すことになってしまいました。 それは、展示をするために、めだかを選びながら水槽に入れていた時に、後1つ残った水槽には何を入れようか・・・と少し迷って、「色別で考えるとやはりブルーか、しかし、底石は黒いものしかないし、何か今一だな。」と思いながら、とりあえず、入れてみたのです。 入れて、しばらく、その水槽に釘付けになってしまいました。 その日は天気が良く、水槽にも沢山の日差しがある上に、黒い底石との対比で、きらきらと輝く水面に、青に緑に輝きながら追い合うめだかの姿があったのです。 写真は、その時のものではありませんが、その時は、もっと輝いて見えました。 私の脳裏に、ゼフィールスという蝶の飛影が浮かんで来たのです。 (ゼフィールスは、ミドリシジミ類の蝶のことで、学名に付けられたゼフィール(ギリシャ神話に出て来る西風の妖精の名)を総称として呼んでいます。この蝶のオスは、翅の表に、緑や青の強い金属光沢を持ち、森の陽だまりでテリトリーを巡って追飛しあう様が、青に緑に輝き美しい種類なのです。) この時、私が野山に蝶を求めて歩いていた頃、初夏の僅かの期間しか発生しなく、森の奥深くで人知れず飛び交うこの蝶の美しさを、ブルーめだかの中に見ていたのです。 考えてみれば、ずっと陽の当たらない所で飼っていたため、ブルーの美しさを認識できないでいたのでしょう。 ちょうど、ヒカリの強い種類のブルーヒカリめだかであったこともありましたが、ブルーの美しさは、日差しの下でテリトリーを争って泳ぎ回る姿にこそ、現れるものであることを、認識させられたのです。 そして、今頃になって、ブルーめだかに夢中になってしまいました。 改めて、見てみますと、色々と気付かなかった事が、見えてきたのでした。 (ゼフィールス(ミドリシジミ蝶の標本写真) 上から、アイノミドリシジミ、メスアカミドリシジミ、ミドリシジミの順、左から、 ♂ ♂ ♀ ♀ の順) |
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ブルーめだかの美しさを再認識した頃を前後して、ブルーが入った水槽では、大変な事が起きていました。 5〜6匹のめだかが、糸のように細く(上から見ると)なって、底の方で動けなくなっており、その他のめだかも痩せた感じがする状態でした。 あまり、中を覗いて見ていなかったので、気が付かなかったのです。 水を全て入れ替え、塩を入れて様子を見ましたが、状況の悪化は進行が早く、日に日に痩せて行くのが解りました。このままでは、全滅する・・・。 頭の中を、光輝くブルーが何度も通り過ぎて行きました。 「陽に当てて見よう。」 そんな事で治るとは思えませんでしたが、無意識の内に、最も陽が当たる場所の水槽に、全てのブルーめだかを移していました。 移してからは、ゆっくりではありましたが、体型が戻って来て、元気になってきたのです。 おそらく病原菌によるものだったのでしょうが、陽に当てたことが良かったのか、水槽を替えたために収まったのか、解りません。10匹余りのめだかを失いましたが、最小限に抑えられたのではないかと思っています。 ホッと、一息、陽に輝くブルーめだかの新水槽を見ていて、1匹だけ、色が違うことに気が付きました。病気の影響で、まだ、細い状態でしたが、明らかに緑っぽく、体全体が輝いて見えました。 その一匹は、透明鱗の個体でした。 「透明鱗は、こんなに美しいのか。」 新たな驚きでした。 「そうだ、ブルー透明鱗を殖やそう。」 と思い、早速、白い透明鱗めだかの水槽を探していました。 水槽から数匹を合わせ、交配を進めました。 透明鱗めだかは、一代で遺伝するので、ありがたい存在です。 夏の間に、ブルー透明鱗の水槽を作り、光輝く中で、緑に輝きながら泳ぐ姿を、思い浮かべて、殖やしているのです。 1匹、お気に入りが生まれましたので、まだ小さいですが、お披露目。いかがでしょうか・・・・・。 |
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ブルー透明鱗めだかを作るため、迷わずに白い透明鱗めだかを使いました。 これには、訳があります。 6月からの3ヶ月、それらを育てて来て、最も楽しみである確認と選別を行う時期が来ました。 親は普通のメダカであるのに、ダルマ系の子が、結構得られました。 それと、白いめだかが3割程度、得られました。 これにも、訳があります。 しかし、半分位は得られるであろうと思っていた透明鱗のめだかは、以外に少なく、2割程度でしかありませんでした。 これは、遺伝の悪戯でしょうか。 実は、一年以上前になりますが、強ヒカリめだかを手に入れた時、ブルーは、普通体型の個体しか手に入らなかったのですが、白のダルマ系の強ヒカリめだかを1匹だけ手に入れることが出来たので、一緒に泳がせていたのです。 その時は、薄いブルー系のダルマめだかが得られればと考えての事でしたが、F1は、全てブルーかブルーヒカリの普通体型ばかりでした。 結局、ブルーの普通めだかになってしまうんだと、それから忘れていたのです。 今年、生まれてきた子は、F2とF3が混じっているのですが、白いめだかが多数得られることは、予想していないことでした。 しかも、白いめだかの多くは、強ヒカリタイプで、きらきらと美しく輝いていました。 ブルーと白の交配から、ブルーが得られました、そのブルーの交配で、ブルーと白に分離しました。 これは、当然のことなのか、例外なことなのか、遺伝は良く解りません。 ただ、この経験があったので、交配する透明鱗めだかに白いものを使ったのです。 今度は、ブルーと白を分けて、同色間で交配を進めていきます。 |
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思わぬことから、今年のシーズンは、ブルーめだかに集中してしまいました。 たかが、ブルー系のめだか かもしれませんが、自分なりの成果が少しはあった(奮闘して良かった)ように思います。 そして、得られためだかは、ブルー透明鱗・ブルーヒカリ・白ヒカリ、だけではなく、副産物も多く得ることが出来ました。 ・ブルーヒカリ、ブルー透明鱗のダルマ系 ・ブルーヒカリスモールアイ ・ブルーヒカリスモールアイ(ダルマ系) ・ブルー透明鱗スモールアイ ・白ヒカリスモールアイ ・白ヒカリスモールアイ(ダルマ系) などなど、 次は、これら副産物の2世作りです、果たして何が出て来るのでしょう。 ブルーめだかの奮闘は、まだまだ続きそうです。 |